【思い立った日、本日和。】
#雨水「星の王子さまの天文ノート」

雨水

こんにちは。暦生活の下滝です。

少しずつ暖かさを感じられるようになり、寒さも峠を越えたような気がする今日この頃。
晴れた日の夜空に冬は簡単に見つけられたオリオン座が見えなくなり、夜空も季節を変えて動いている様子が感じられます。

夜空といえば、注目されている方もいるかと思いますが、探査機「はやぶさ2」が2014年12月からの長い旅の果てに、いよいよ小惑星「リュウグウ」に着陸する日が近づいています。
2月22日を予定しているそうですが、何があるかわからないのが宇宙空間。祈るような気持ちでニュースに耳を傾けています。

今回はなんとなくぼんやりと知識はあるけれど、詳しくはよく分からない、そんな宇宙についてあらためて知りたいという時におすすめな天文入門書「星の王子さまの天文ノート」をご紹介します。

雨水

皆さんはサン=テグジュペリの生んだ世界中で愛されている小説「星の王子さま」をご存知でしょうか?TVにも時折登場しますので、イラストは見たことがあるという方もいらっしゃるかもしれませんね。
この物語は主人公の「ぼく」と他の星からやってきた「王子さま」が出会うところからはじまります。

王子さまは自分が暮らしていた小惑星「B612」を出発して少しの間地球へ滞在し、「ぼく」に自身の住む星の話や、訪れた他の惑星の話、大切なバラの花のことなどを教えてくれます。

雨水

一方、本書「星の王子さまの天文ノート」は、星の王子さまの言葉とともに、実際の惑星の謎に迫ったり、星座や天文現象について詳しく知ることのできる、宇宙を身近に感じられるような一冊です。
小説を未読の方でも、物語の文章が各章の扉に入ることで、より宇宙というテーマに入り込みやすい構成になっています。

全体の流れとしては、まず第1夜では「月」、2夜では「惑星」、3夜は流星や彗星などの「天文現象」、4夜は「天体や星団」、5夜は「星座」、そして最終夜は「人と星の道のり」について、それぞれ丁寧にイラストや写真を交えてわかりやすく解説されています。

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第1章のテーマが私たちにとって身近な“月”というのも、本書が読みやすい理由のひとつかもしれません。月の表と裏の姿、満ち欠けと月齢を一覧で説明しつつ、一番星を見つけやすい空の美しい時間「薄明(トワイライト)カレンダー」も掲載されていて、読み終えると思わず今日の月の形を確認したり、一番星を探したくなってしまいます。

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第2夜で触れる“惑星”はページごとに一つの惑星を紹介していて、写真付きで「太陽になりそこなった惑星といわれる木星」や「横倒しで自転する珍しい惑星、天王星」など、興味を引くコピーをつけて解説してくれています。
中には王子さまの故郷である星「B612」の仲間であり、はやぶさ2が着陸予定の「小惑星」についての箇所もありますので、想像を膨らませながら読んでみても楽しめます。

雨水

面白いのは、最終夜に掲載されている「タイプ別 星へのアプローチ」のコーナーで、質問に答えて矢印を進んでいくと、自分のタイプ別に星や宇宙に関するオススメな場所を教えてくれます。チェックして休日に出かけてみるのも楽しそう。

そして本書を読んだからといって、無理にすべての星を知る必要はないし、宇宙を好きになる必要もないのですが、

「夜になったら、星をながめておくれよ。ぼくんちは、とてもちっぽけだから、どこにぼくの星があるのか、きみに見せるわけにはいかないんだ。だけど、そのほうがいいよ。きみは、ぼくの星を、星のうちの、どれか一つだと思ってながめるからね。すると、きみは、どの星も、ながめるのがすきになるよ。星がみんな、きみの友だちになるわけさ」(P.103より引用)

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この王子さまの言葉は、ひとつだけお気に入りの星や星座を見つけるだけで、夜空を見上げるのが楽しみになるという素敵なことを教えてくれます。あなたもこの本を開いて、ひとつだけで良いので好きな星を探してみませんか?

 

地球を出発した小さな「はやぶさ2」は、もうすぐ遠くの小さな星に着陸しようとしています。
小惑星「リュウグウ」には水を含む岩石があると期待されていて、サンプルを採取できれば人類が生まれた謎を解明する手掛かりになるかもしれないと言われています。いったいどんな物質を採取して戻ってきてくれるのか気になりますね。
できることは見守ることだけですが、この機会に宇宙に少しだけ関心を向けて、世紀の瞬間がくるのを一緒に見つめてみませんか?

私たちが住む地球、そして太陽系に目を向けてみると、少し違った目線から、広い視野で自分の生きる世界を見つめられるかもしれません。
夜空を見上げて、遠くで頑張っている小さな使者にエールを送ってみてはいかがでしょうか。

 

雨水
-今回のここに注目!-
「ぼく、こんどは、どこの星を見物したら、いいでしょうかね」
王子さまの問いのように、見物に行くような気持ちでページをめくって様々な星を眺めてみるのもオススメです。
王子さまが故郷の星に咲く特別なバラの花について想いを馳せるように、遠くを知ることで、今私たちが住む地球について、より愛おしく感じられるかもしれません。

雨水

 

星の王子さまの天文ノート

監修:縣 秀彦(国立天文台)
出版社:河出書房新社
定価:本体1500円(税別)
単行本:128ページ
ISBN:9784309252759