【思い立った日、本日和。】
#寒露「はるかな国からやってきた」

寒露

 

こんにちは。暦生活の下滝です。

風が冷たくなり、木々の葉も色づき始め、季節が変わったことを感じられるようになってきました。

天気が良い日には公園のベンチにちょっと座って、読書するにも良い季節ですね。
鞄やポケットに本を滑り込ませて出かけてみませんか?

今回はちょっとした時間に、軽くて深い、味わいのある読書を楽しめる詩集「はるかな国からやってきた」をご紹介します。

 

気軽に詩集を楽しもう

「詩集」を手に取るということは、人によっては恥ずかしかったり、内容が理解できなくて、小説を読むよりも難しいと思われる方もいるかもしれません。

ですが、国語の教科書や、合唱歌、CMなどでも知られる谷川 俊太郎さんの詩には、目や耳を通して、何か心に響いたことがあるという方もいるのではないでしょうか。

まっすぐで素直な言葉なのに、軽やかにリズムを持って、さらには深い意味も含んで、優しくあたたかく、時には胸をえぐるように感じられる「詩」。

数えるほどしかない文字の連なりに、心を奪われ、どこかに眠っていた感情が呼び起こされるのはとても不思議な感覚です。

「愛」とか「恋」とか「生きる」とか「死ぬ」とか。漠然とした存在で、言葉にすることが難しいものごとを、いろいろな言葉を組み合わせて表す「詩」の世界。

大きな存在を、数ページで軽々と表現している様は、まるで美しい手品を見ているかのようです。

本書には谷川さんのデビュー作「二十億光年の孤独」のほかに、様々な年代で描かれた詩が収録されています。きっとどこかで目にした、耳にした作品も多いはず。あなたのお気に入りの詩を探してみませんか?

 

寒露

 

「答え」を見つけるイメージの旅へ

本書に掲載されている「三つのイメージ」という詩は学生時代に教科書で読んで以来、ずっと私の中に残っているもののひとつです。

燃え盛る火、流れる水には、美しさや優しさを感じる一方で、燃やし尽くし、濁流となる恐怖も感じられます。矛盾するものだからこそ、火も水も美しい、そして、それは「人」も同じ。

優しかったり、怒ったり、笑ったり、絶望したり。自分でもつかみきれない「人間」のイメージが、率直に、醜く、そして愛しく描かれています。

そして、この「三つのイメージ」は、あくまで問いかけとして読者に示されます。これらを表現するのに明確な「答え」はなく、こうした相反した大きなものに対して、問いを抱き続けること、それを読者に「贈る」と作者は伝えています。

生きていく上で大切なことを、静かに諭してくれるような詩。どんな目線で世の中を見れば、こんな作品が描けるのだろうかと、その言葉のあり方に驚かされます。

 

寒露

 

美しい言葉遣いになりたい、憧れる、という意見をたまに耳にしますが、敬語や丁寧語、そういったもののほかに、「詩」というシンプルな言葉が表す世界も、のぞいてみると良いかもしれません。

言葉の選び方に、余韻の残し方に、行間に。美しいな、気になるな、不思議だな、と何か感じることが、「美しい言葉」を身に着けるヒントになるのではないかなと思うのです。

美しい言葉の羅列を目で追いかけて、説明だけではない、言葉に秘められた奥深さを探してみませんか?

秋の澄んだ青空や、夕暮れを眺めながら。もしくは長く静かな夜に浸りながら。
自分の深い部分と対話できる詩の世界を感じてみてはいかがでしょうか。

 

寒露

-今回のここに注目!-
「ああこの若者は 冬のさなかに永らく待たれたものとして 突忽とはるかな国からやってきた」
「測量船」で知られる三好達治さんが、谷川俊太郎さんのデビュー作に寄せた言葉からは、期待と感動が伝わってきます。
はるかな国からやってきた「詩」の世界。あなたにはどんな風に見えますか?

 

はるかな国からやってきた

著者:谷川 俊太郎
出版社:童話屋
定価:本体1250円(税別)
単行本:189ページ
ISBN:9784887470330